イギリス史上、もっとも輝かしい時代をつくりあげ、大英帝国として世界に君臨したヴィクトリア女王。
富と力の絶頂期にあり黄金期を迎えていたヴィクトリア女王時代の中でも、1851年のロンドン万博の大成功により英国がかつてないほど革新的になったヴィクトリアン中期。イギリスの家具や陶磁器などの装飾芸術は、飛躍的に発展します。
背面に宝石のようなカメオ型の装飾が施された本品は、その英国最盛期に製作された逸品です。そのエレガントな意匠は見るものを魅了します。
ゆるい波型の曲線は、腕を休めるのには格好の角度です。ゆったりと幅が取られた座面に腰かけ、深く傾いた背もたれに身を任せると、二人の人物は親密に小声でお喋りを愉しんだことでしょう。美しくスクロールする足。カルトゥーシュからS字曲線に連なる優雅な足先には、鈍く光る真鍮のキャスターが装着されています。重厚なソファの、華奢で可憐な足元が、ソファを一層優雅な姿に見せます。
張地は、AkemiMandaプロデュースにより、この優美なソファに相応しいルイ15世様式の気品高いファブリックを使用しています。流れるように美しいデザインのソファに品格が備わりました。
このソファの魅力的な意匠は、スクロール(巻軸)を彷彿させます。古代から美の法則と言われている、「黄金比」の法則がスクロールの形状に隠されています。スクロールの黄金比を当てはめたような華麗な形状と貴婦人好みのリボン柄のファブリックが共鳴して、調和する美が、香りのように湧き立っています。
美の黄金比に貫かれたソファから、輝かしい時代の華麗なインテリアが彷彿されます。腰を据えると、お城の一室にいるような心地になり、優雅なひとときをお過ごしいただけます。
目を見張るのは、左右の背面には宝石のカメオを連想させる装飾性豊かなカメオバックは、ヴィクトリア中期の高級家具に見られる美しいデザインです。 2つのカメオバックと貴婦人好みの優美なファブリックが織りなすアート(芸術)は、見るものを魅了します。
本品は、Akemi Mandaプロデュースにより上質なファブリック(織)の張地を使用しています。優美なリボンとガーランドの意匠が、曲線美のソファの良さを引き立てます。同じ柄の夢織オリジナルクッションを合わせると、さらにエレガントなインテリアを演出します。
1266年、シチリアがフランスに統合されたことを契機に、北イタリアに絹織物文化が伝承され、16世紀にフランドール(ベルギー)地方に到達する頃には、様々な技術が生まれました。経糸でループを作り文様を織るベルベットは、錦織、ダマスク織と共に高級織物として、貴族の財産目録に上げられていました。織物には紋章や装飾デザインが施され、壁掛けやベッドの天蓋、カーテン、椅子の張地、クッション、ベッドカバー、外套、馬飾りに使われました。ヤン・ファン・エイク作「ファン・デル・パーレの聖母子」(画像)の絨毯や衣など、描かれている織物も素晴らしいです。本品の優美なファブリックも織物です。
ヴィクトリア女王時代の繁栄を示す絵画「The Derby Day」。 当時流行したパノラマ画に、貧富貴賤、老若男女ありとあらゆる人々が、年に一度のお祭り騒ぎに興じています。エプソムダービーは、毎年5月の下旬から6月初旬に行われる競馬レース。ウィリアム・フリスの「ダービーの日」は、ロンドン郊外エプソム競馬場のダービーに詰めかけた群衆を描いています。水平線を埋め尽くす、シルクハットの紳士、サーカスの芸人、着飾ったご婦人、行商人等と、あらゆる階級の人々が活き活きと描かれています。 ※YUMEORI夢織では「The Derby Day」の銅版画を所蔵。
ゼンマイ状に先端が渦巻になっている巻軸文様。古代ギリシャの柱頭に見られたり、カソリック最高位の司教の権力を象徴する司教杖の先端部分にも施されています。パルメットやアカンサス、コキール(貝)やロカイユを繋ぐ古典的な装飾デザインとして発展しました。画像はラファエロ・サンティによるグロテスク。 本品の意匠もスクロール模様を連想される曲線美が魅力的です。
ヴィクトリア女王時代で最も繁栄した中期を代表するエレガントな意匠がこのソファにふんだんに施されています。 優美なデザインのこのソファを製作するのは大変困難であり、上質な木材を見極める目利きの職人や腕利きの木工職人がいないと造り得ません。 このソファが最高に映える格調高いインテリアをイメージして製作されたのでしょう。 ※画像:ヴィクトリアンインテリア by Akemi Mandaプロデュース