ウイングバックチェア………くつろぎの空間を彩る椅子。高く深い背もたれが身体を包み込み、肘掛けの上のウイングが、マントルピースの火気から横顔を守るデザイン。ゆったりと身を包み込んでくれる形状は、時間さえ忘れてしまう至上の安らぎを与えてくれます。かつては王や高位聖職者の「権力の象徴」であった椅子は、時を経て「快適さ」が重視されるようになります。フランスではロココの時代に、より快適な座り心地が求められ、美しい布張りの椅子が王侯貴族の間で愛用されました。黄金色に輝く、ナポレオンⅢ世時代に制作された特別な金箔ウイングバックチェア。デザインから座り心地まで、当時の貴族が体感した「くつろぎ」を徹底的に再現いたしました。椅子に座る、というより包まれる満足感です。ウイングが馬車の幌のように視線を覆うので、密やかな空間も愉しむことができます。贅を尽して貼られた本品の金箔をさらに映えさせる、鮮やかなグリーンと豪華なゴールドによる最高のファブリック(張地)。手のひらに触れると、心に高揚感が訪れます。華やかさ、高貴さが、晴れやかな気分にさせてくれます。そして空に浮かぶうららかな雲の上に座っているようなクッション。空気をはらんだ羽毛は、うっとりと柔らかな感触。かつてこの椅子に腰かけた貴婦人たちの、豪奢なドレスの衣擦れが聴こえてくるようです。
貴族のくつろぎの再現。心豊かに流れる時間を愉しみながら、生活の中に美しさと贅沢を取り入れる歓び。心を満たす幸福感は、きっとかつての所有者と同じものでしょう。
ベルサイユ宮殿で繰り広げられたアントワネットの華麗なる暮らしぶり。装飾家具、王立窯セーブルによる磁器作品等、装飾芸術がこの時代に華開きます。本品は、アントワネットの時代のルイ16世様式を体現したものです。
豪華な金箔が全体に貼られた究極のウイングバックチェア。S字型を描くウイングが、肘掛けに連なり、優雅な曲線を描きます。そして直線的なフォルムの華奢な脚に繋がっていきます。ルイ16世様式の直線的なフォルムと曲線美が織りなす、アート作品と言えるでしょう。
サロン・・・イタリア最盛期・ルネッサンス後期に生まれた、主人(多くは女主人)によって主催される、文学、哲学、政治、芸術を議論する、王侯貴族をはじめ上流階級の社交の場のこと。本品のような装飾家具は、サロン文化から生まれた感性の極みとも言えるでしょう。※夢織所蔵の金箔サロンスイート(写真)
ロココ芸術の偉大なるパトロンであった、才色兼備の貴婦人です。究極の室内装飾であるロココは、世界一の宮殿「ベルサイユ宮殿」で発展します。
華麗で心地良く過ごせる室内装飾を"ロココ様式"と呼ばれ、王侯貴族に愛されました。座り心地良く、豪華で洗練された美しさを放つ本品に通ずるものがあります。
頭頂部の可憐なバラ、繊細な彫刻が連なる美しい装飾、黄金色に輝く気品高い金箔・・・包まれる心地良さを兼ね備えた「究極のインテリア」と言えるでしょう。