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ナポレオンⅢ世 ルイ14世様式象嵌コモード<br />
フランス 1870年代

ナポレオンⅢ世 ルイ14世様式象嵌コモード
フランス 1870年代

貴族とは・・・剣を携帯すること、領土を所有することを許され、紋章を持ち、狩猟する特権を与えられ、市民として軍人としての立場があり、名誉と称号が与えられ、王に忠誠を誓い、領民を擁護する階層。その深い歴史の中で、生活を通して数々の芸術や文化を生み出してきたヨーロッパ貴族は、装飾芸術の偉大なるパトロンでありました。

王侯貴族社会が作り上げた、装飾芸術を代表する宮廷や城の必需品であるコモード。1870年代、ヨーロッパが最も豊かであったベル・エポック時代のフランスで制作された、宮廷家具を体現したコモード。幅117センチ、奥行き51センチ、高さ88.5センチの堂々たる姿は、このコモードを設えていた、かつての所有者の邸のスケールの壮大さが偲ばれます。

先ず目を奪われるのは、豊かな曲線の織り成すフォルム。正面、側面とも表面が立体的にせり上がり、名画に描かれる豊満な女性の肢体を連想させます。線の柔らかなかたちは、眺める瞳に優しく、「王の木」の誉れ高い木材、キングウッドの明るい色彩と光沢と調和して、造形物としての芸術性を高めます。

特筆すべきは、天板に使われている大理石。淡いクリーム色、黒が強く混ざった紫、赤が混ざる紫、サーモンピンクの色彩が、様々な濃淡で陽炎のようにゆらめいています。自然の気まぐれな力で出来た模様は、印象派の画家のカンヴァスから、空の部分を切り取ったような美しさです。

広大な館のホールで、金箔のミラーと共に圧倒的な存在感を放っていたコモード。かつて、絵画や彫刻が居並ぶ壮麗な室内に、ひとつの秩序を与えた存在。選ばれし人々の眼を楽しませた華麗な姿。その洗練されたたたずまいは、時を経ても色あせることなく、気品に満ちた空間を作り上げます。

  • 1.ダイヤモンド・マッチ

    1.ダイヤモンド・マッチ

    3つの引出部分と側面に施された、象嵌細工。黄金色に輝くキングウッドの木目の特徴を、最大限に引き出しています。菱形に組まれた、ダイヤモンド・マッチと呼ばれる象嵌細工が、万華鏡のように美の世界を広げます。木目の濃淡を計算しながら、丹念に組んでいく細工を、立体的な表面に隙間なく施すには、高度な技術と根気が必要とされます。キングウッドの万華鏡を、マホガニーの紫がかった褐色が取り囲んでいます。

  • 2.天使とヴィーナスの象徴シェル

    2.天使とヴィーナスの象徴シェル

    コモードに装着されたブロンズ細工は、家具に与えられた装飾品に見えます。引出の持ち手は、二人の天使像を繋ぐ、半円形のロカイユ(巌模様)。中央にはヴィーナスの象徴、シェルが見えます。豊満な曲線美を描くコモードに与えられた、徽章のようです。

  • 3.グリーンマンとロカイユ

    3.グリーンマンとロカイユ

    中央にはグリーンマンに守護された鍵穴があります。慶弔の印、グリーンマンは、古くから教会等の建造物に見られますが、家具装飾に使われているのは稀なことです。かつて置かれていた邸の品格に合わせたものでしょう。両脇に施されたロカイユとアカンサスのブロンズは、優雅な曲線をなぞるように装飾し、S字型にくねるアカンサスが、足に繋がる曲線の優美さを強調しています。

  • 4.貴族の暮らし-狩猟と政治-

    4.貴族の暮らし-狩猟と政治-

    ヨーロッパ貴族社会にとっての狩猟は、娯楽である反面、「勇敢で忍耐強く、忠誠心に富む騎士であれ」という、騎士道を子弟に教え込む教育手段でもありました。中世期には、狩猟に係る役職の地位が上昇し、下級騎士階級の出世の手段として重要視されるようになります。王の鹿狩りに随行することは、貴族にとって大変な名誉でした。優秀な猟犬や鷹も重要な献上品と発展していきました。

  • 5.貴族の暮らし-狩猟の愉しみ-

    5.貴族の暮らし-狩猟の愉しみ-

    鹿狩りには、広大な土地が必要であったため、「王侯の狩猟」と称されます。郊外にある広大な領地の城を舞台に、陽が昇らないうちに森へ出向き、猟犬の群れを操りながら獲物を追い詰める鹿狩りは、最も貴族的な趣味とされました。伝統的な貴族の狩りの風景。現在猟犬を使った狩りを許されているのはフランスのみと言われています。

  • 6.貴族の暮らし-紳士の装い-

    6.貴族の暮らし-紳士の装い-

    邸の女主人主催の、サロンでの演奏会や、大貴族が集まる夕食会では、流行の装いで貴婦人たちが花を添えますが、エスコートする紳士は、パールグレイの手袋やオペラハット、白絹のネクタイに、ボタンホールには花言葉を掛けた生花、スターリングシルバーや鼈甲など嗜好を凝らしたモノクル(片眼鏡)、アンティークのステッキで着飾って出掛けました。写真(左から順)):名門メディチ家出身のフランス王妃マリー・ド・メディシス(1575-1642)マリー・アントワネット(1755-1793)カスティリオーネ伯爵夫人(1837-1899)

  • 7.アンドレ・シャルル・ブール

    7.アンドレ・シャルル・ブール

    コモードという家具を考え出したのは、18世紀にフランス王の家具師と称されたブールです。ヴェルサイユ宮殿の、ブロンズと象嵌の家具の多くを製作した「天才家具師」。銅と鼈甲で製作する黒、赤、金のコントラストが豪奢なブール象嵌は、その名を歴史に留めさせました。室内装飾を芸術の域に達しさせた先駆者であります。本品は、そのブールの考案したコモードのルイ14世様式を体現した装飾家具です。写真は夢織所蔵のブール象嵌デスク。

  • 8.ヴェルサイユの家具師達

    8.ヴェルサイユの家具師達

    ヴェルサイユの王侯や愛妾は、お気に入りの家具作家に装飾を委ねました。ブール以外にも、本好きのポンパドゥール夫人に、読書用デスクを作ったウーバン、デュバリー夫人のために、セーヴルの陶板を施したティーテーブルを作ったカーリン、伝説のビューローを作り、マリー・アントワネットお気に入りの家具師になったリーズネル。ブルボン家というパトロンは、ヴェルサイユでヨーロッパ最高峰の装飾技術を育て、それは本品が制作されたナポレオンⅢ時代にも受け継がれています。

  • 9.「王の木材」による本品

    9.「王の木材」による本品

    ルイ14世、15世の時代、木材の宝石と賛辞されたキングウッド。密度が高く、天然乾燥する際にひび割れが発生しやすく、大きい材を取るには大変困難な貴重な木材。木の内部に蝋を含んでいるため、自ら素晴らしい光沢を生み出すという、まさに「王の木材」です。キングウッドを纏う本品は、王者のような風格が漂います。