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ヴィクトリアン カメオバックソファ<br />
イギリス 1870年代

ヴィクトリアン カメオバックソファ
イギリス 1870年代

19世紀中期。「世界の工場」と評され、産業革命で大成功を収めたイギリスは、自由貿易体制が整えられ、ギリシャやローマの強大な古代帝国に例えられるほどの、黄金期を迎えます。鉄道が網目のように国土に張り巡らされ、旅行ブームが到来しました。電気が実用化されて、外灯が夜のロンドンを照らします。南アフリカで、ダイヤモンド鉱山が発見され、最高級のダイヤがイギリスに持ち込まれました。イギリス全土が、かつてない繁栄に踊っていたのです。史上最も豊かな時代に、イギリスの装飾芸術もさらなる発展を遂げます。

本品は、その英国最盛期の時代に製作された、背面に宝石のようなカメオ型の装飾が施されたソファ。ヴィクトリア女王時代で最も繁栄した中期を代表するエレガントな意匠がふんだんに見られます。

先ず目を見張るのは、中央部、左右のヴィクトリア中期の高級家具に見られる独特なデザインのカメオバック。そしてそのカメオバックには貴婦人好みの優美なリボン彫刻がそれぞれに施されています。優美なデザインのこのソファを製作するのは大変困難であり、上質木材を見極める目利きの職人と有能な家具デザイナー、それに腕利きの家具職人と彫刻職人がいないと造り得ません。

ゆるい波型の曲線は、腕を休めるのには格好の角度です。ゆったりと幅が取られた座面に腰かけ、深く傾いた背もたれに身を任せると、二人の人物は親密に小声でお喋りを愉しんだことでしょう。美しくスクロールする足。カルトゥーシュからS字曲線に連なる優雅な足先には、鈍く光る真鍮のキャスターが装着されています。重厚なソファの、華奢で可憐な足元が、ソファを一層優雅な姿に見せます。

張地は、この気品高いソファに相応しいものをと、バッキンガム宮殿で使用されている王室御用達ダマスク文様のカットベルベット生地を使用しています。城や貴族の館のファブリックには、ベルベッドをカットした格式高いカットベルベッドが好まれ、貴族趣味の本品に採用しています。3つのカメオバックには、最も美しい中央のダマスク文様に柄合わせするように配置し、アームカバーにまで同じ生地で贅沢に張替えています。

このソファの流れるような美しいフォルムは、スクロール(巻軸)を彷彿させます。古代から美の法則と言われている、「黄金比」の法則がスクロールの形状に隠されています。スクロールの黄金比を当てはめたような華麗な形状と貴婦人好みのリボン柄彫刻、そして王室御用達カットベルベッド生地が共鳴して、ソファ全てを完成された芸術作品へと昇華させています。調和する美が、香りのように湧き立っています。

美の黄金比に貫かれたデザイン。この作品は、もはやソファであることを超越して、ひとつの芸術作品として、空間に君臨します。大英帝国の大いなる遺産・・・ほんものの贅沢を知る時代が導いた、美の結晶。果たして、次の持ち主になられるのは、どのようなお方でしょうか・・・

  • 1.大英帝国の繁栄を象徴するソファ

    1.大英帝国の繁栄を象徴するソファ

    ヴィクトリア女王時代で最も繁栄した中期を代表するエレガントな意匠がふんだんに施されています。優美なデザインのこのソファを製作するのは大変困難であり、上質木材を見極める目利きの職人と有能な家具デザイナー、それに腕利きの家具職人と彫刻職人がいないと造り得ません。

  • 2.カメオのように華麗に輝く背面

    2.カメオのように華麗に輝く背面

    目を見張るのは、中央部、左右の背面には宝石のカメオを連想させる装飾性豊かなカメオバック。ヴィクトリア中期の高級家具に見られる美しいデザインです。固い高級木材マホガニーによる家具製作は至難の業で、職人芸と言えます。3つのカメオバックには貴婦人好みの優美なリボン彫刻がそれぞれに施されています。

  • 3.王室御用達カットベルベット生地

    3.王室御用達カットベルベット生地

    この気品高いソファに相応しい張地をと、バッキンガム宮殿で使用されている王室御用達ダマスク文様のカットベルベット生地を使用しています。3つのカメオバックには最も美しい中央のダマスク文様がくるように柄合わせし、アームカバーにまで贅沢に使用されています。

  • 4.黄金比

    4.黄金比

    縦:横の比率が、1:1.618…である黄金比は、古代より均整の美の法則とされてきました。建築家や芸術家は、自然界のあらゆる美に共通する法則として、神殿や彫刻、絵画にこの法則を活用しました。現在でも造形の法則として活用されます。貝殻の螺旋状の文様も、黄金比が秘められていると言われ、スクロールの、連なる曲線も、1:1.618の比率が当てはまります。レオナルド・ダヴィンチも、絵画の制作にしばしば黄金比を用いたという。「モナリザ」や「最後の晩餐」もその例です。

  • 5.ヨーロッパの高級織物<br />

    5.ヨーロッパの高級織物

    1266年、シチリアがフランスに統合されたことを契機に、北イタリアに絹織物文化が伝承され、16世紀にフランドール(ベルギー)地方に到達する頃には、様々な技術が生まれました。経糸でループを作り文様を織るベルベットは、錦織、ダマスク織と共に高級織物として、貴族の財産目録に上げられていました。織物には紋章や装飾デザインが施され、壁掛けやベッドの天蓋、カーテン、椅子の張地、クッション、ベッドカバー、外套、馬飾りに使われました。「ファン・デル・パーレの聖母子」ヤン・ファン・エイク作(画像)。絨毯や衣など、描かれている織物が素晴らしいです。本品にはバッキンガム宮殿で使用されているカットベルベット生地が使用されています。

  • 6.大英帝国の繁栄を示す絵画

    6.大英帝国の繁栄を示す絵画

    ヴィクトリア女王時代を代表する絵画「The Derby Day」(画像は夢織所蔵の額絵)。当時流行したパノラマ画に、貧富貴賤、老若男女ありとあらゆる人々が、年に一度のお祭り騒ぎに興じています。エプソムダービーは、毎年5月の下旬から6月初旬に行われる競馬レース。ウィリアム・フリスの「ダービーの日」は、ロンドン郊外エプソム競馬場のダービーに詰めかけた群衆を描いています。水平線を埋め尽くす、シルクハットの紳士、サーカスの芸人、着飾ったご婦人、ジプシーや行商人と、あらゆる階級の人々が活き活きと描かれています。1858年、ロイヤルアカデミー展覧会で発表された際には、観衆が殺到したため、鉄柵を張り巡らせ警官に警備させるほどの評判を呼びました。

  • 7.スクロール文様

    7.スクロール文様

    ゼンマイ状に先端が渦巻になっている巻軸文様。古代ギリシャの柱頭に見られたり、カソリック最高位の司教の権力を象徴する司教杖の先端部分にも施されています。パルメットやアカンサス、コキール(貝)やロカイユを繋ぐ古典的な装飾デザインとして発展しました。画像はラファエロ・サンティによるグロテスク。人物、天使、花等が、アカンサスやスクロールによって優雅に繋がれている華麗な文様。

  • 8.ダマスク文様

    8.ダマスク文様

    複雑なパターンを持つダマスク文様は、古代中国からユーラシア大陸を伝わり、13世紀にはイタリアまで到達しました。イタリア人がシリアのダマスカスで学んだ織物の文様ということで、ダマスク文様と呼ばれます。植物、果実、花が織りなす連続模様で、ヨーロッパでも古典的な文様として現在に伝えられています。本品の張地のダマスク文様は、王侯貴族趣味によるカットベルベッド生地によるものです。

  • 9.美の黄金比を体現した装飾家具

    9.美の黄金比を体現した装飾家具

    黄金比を当てはめたような華麗な形状と貴婦人好みのリボン柄彫刻、そして王室御用達カットベルベッド生地が共鳴して、ソファ全てを完成された芸術作品へと昇華させています。華麗なソファに腰を掛けると、宮殿の一室にいるような優雅な心地になり、座っている人をソファが気品高く演出し、調和する美が香りのように湧き立ってきます。