RECOMMENDATION

夢織のおすすめ

サンルイ オーダーカットワイングラス<br />
フランス 1940年頃 クリスタルガラス<br />

サンルイ オーダーカットワイングラス
フランス 1940年頃 クリスタルガラス

世界の王侯貴族が愛し続ける、ヨーロッパ最古のガラスメーカー、サンルイ・・・その美しさ故に、ブルボン王朝期、フランス国王ルイ15世より、『Saint-Louis』の称号をあたえられ、王立ガラス工房となった、由緒あるクリスタルガラス工房です。

1938年、ヴェルサイユ宮殿にイギリス国王ジョージ6世とエリザベス妃殿下を来賓に迎え、フランス大統領主催の昼食会が催されました。この名誉ある昼食会で、採用されたのがサンルイのグラスセットでした。
当時の上流階級では、サンルイが提案した、「それぞれのワインに専用のグラスを使う」という新しいマナーを支持し、サンルイのグラスセットを持つことがステイタスでした。

今回ご紹介するのは、そのサンルイのクリスタル職人の妙技をつくし、芸術的なカットが余すところなく施されたオーダー製のグラスです。サンルイに特別注文で、サイズ違いの3種類のワイングラス、シャンパングラス、リキュールグラス作らせ、一軒のお屋敷からそのまま見つかったものです。ダイヤモンドのように光り輝くサンルイのクリスタルグラスは、全てハンドカット。その輝きとカッティングは、まるで人々を魅了するヴィーナスのように、美しく気品が満ち溢れています。

パリソンは、深く力強い巧妙なカッティングにより、さらにプリズム効果が引き立ち、光りにかざすとジュエリーのように七色の輝きを放ちます。カッティング後に、さらに磨きをかけているのでしょう。やわらかく滑らかで、思わず手に取りたくなるような麗しいクリスタルグラスの魅力を引き出しています。これほどのデザインとカットの技術を用いたグラスは、サンルイの長い歴史の中で、ほとんど存在しません。ジュエリーのような輝きとカットの滑らかさを出すために、スケッチ・成形・カッティング・研磨の最終段階までにいたるまで、何十もの工程があったことが伺えます。その為、生産コストがかかり、一時的にしか作られていなかったようです。

洗練された美の極致、静と動を兼ね備えたクリスタルガラス・・・
オーダーした方のセンスや、クリスタル職人の技術の高さが、私たち五感を通して伝わってきます。このグラスも、フランス王室に憧れたブルジョワ階級の方が、たくさんの友人を招いて開いた晩餐会で使用し、その年に出来たワインを注ぎ、楽しんでいたに違いありません。
夏の季節には、冷たくしたフランス産のロゼワインが良く似合います。このクリスタルカットグラスに注がれたロゼワインは、バラ色に輝き、優雅なひとときをロマンチックに演出してくれるでしょう。美しい輝きと思いがこめられた、サンルイクリスタルグラス・・・きっと、あなたの手元で新たな輝きがきざまれていくでしょう。

◆サンルイの歴史
1586年、燃料不足で操業を停止していたオルバックのガラス工房が、フランスロレーヌ地方のミュンツタールで移転再開しました。それが、現在のサンルイの前身です。1767年3月4日、当時のフランス王ルイ15世より勅許状が発行され、「サンルイ王立ガラス工房」という栄えある名称を受けました。「サン・ルイ(Saint Louis)」とは、聖人とされた、ルイ9世の名にちなんで与えられました。1781年、フランスで初めてクリスタルの製法を解明し、翌年、王立科学アカデミー により正式に認証され、「サンルイ王立クリスタル工房」へと生まれ変わりました。1829年、「サンルイ・ガラス&クリスタル会社」の名称で株式会社となり、一時期バカラ社と提携しました。1870年代~第一次世界大戦終戦まで、ロレーヌ地方はドイツの支配下にあり、サンルイは操業を停止していました。戦後、ロレーヌ地方は再びフランス領となり、デザイン界はアール・デコ 様式の全盛期を迎えました。その流行をとらえたサンルイは更なる発展を遂げていきます。常に、各国からの王室・上流階級からのオーダー品を作り続けました。現在、サンルイは、フランス一流ブランド・エルメスグループの一員となり、フランスの輝かしい栄光と共に、賞賛され愛されています。時代の変遷とともに、歩んできたサンルイ… その伝統はゆるぎなく、今日もなお世界の人々を魅了しています。

◆クリスタル職人 受け継がれる心・技
1781年、フランスでクリスタルの製法を初めて解明したのは、当時の「サンルイ王立ガラス工房」の工房長フランソワ・ド・ボフォールとサンルイの職人たちでした。当時は、イギリスが鉛入りのクリスタル製法を独占していましたが、サンルイの職人たちの努力で解明され、より透明度の高い美しいものへと完成させていきました。その結果サンルイの芸術性と技術の高さは、王立科学アカデミーに正式に認証され、パリ万国博覧会でグランプリを受賞するなど、様々な功績をのこしました。昔は、ロレーヌ地方のガラス職人たちは、貴族と同じような特権を与えられていました。ガラス製法の技術を守るため、その技は父から息子へと伝授され、さらにサンルイ工房では、遠方へ出掛ける際は許可が要り、退職志願者には2年前からの通知が必要でした。こうすることで、職人たちへの責任と誇りを維持させました。現在は、技術高等学校の卒業生たちも見習いとしてサンルイに入社しています。彼らは、6~8年の下積みを経て、吹き職人かカット職人として第一歩を踏み出します。サンルイには、「フランスの最優秀職人(M.O.F) 」の資格を持つ職人が多く所属しています。

クリスタル: 鉛入りのガラス。一般のガラスに比べて比重が重く、叩くと金属音がして、屈折率が高い。
パリソン: グラスのボールになる部分。または「カリス」と呼ばれる。
フット: グラスのステムを支える部分。
ステム: グラスのフットとパリソンの間の脚部を指す。
アモリス: グラスのステムとパリソンの接続部。
王立科学アカデミー: フランス国立の学術団体で、フランス学士院を構成する団体の一つ。フランス国内の科学研究を活性化させ、保護するべきであるという信念ものと活動する団体。
フランスの最優秀職人(M.O.F): フランス大統領から与えられる名誉ある称号。日本の人間国宝にあたる。

  • 昼食会が催されたヴェルサイユ宮殿の「鏡の回廊」。200名分のテーブルセッティングには、11種類ものグラスが用意されたそうです。

  • カットラインが多く、角度を変えてカットされていることから、作業工程に大変な手間と時間を要したことがうかがえます。

  • フットは星を連想させるようなカッティング。ステムやアモリスにもあますところなくカットが施されています。

  • 澄んだクリスタルの種を創り出す、職人の息の力強さと、緻密な計算のもとにカットされた端麗なデザインは、優美で気品に満ち溢れています。

  • クリスタルの女神と賞される気品に心を奪われます。王者のクリスタルと言われたバカラに対して、サンルイはクリスタルの女神と称される程、優雅なフォルムです。

  • 左から、 ワイングラス(小)口径:7cm 高さ:14.5cm、ワイングラス(大)口径:9cm 高さ:18.5cm ワイングラス(中)口径:8.5cm 高さ:17cm リキュールグラス口径:4.5cm 高さ:10.5cm シャンパングラス口径:5cm 高さ:18.5cm

  • ワインを注ぐとまた新たな表情を見せてくれます・・・

  • 1836年のサンルイ(ミュンツタール)サンルイ・クリスタル工房の周辺には、職人の為の住居、学校、教会、商店が次々に建設され、村が発展し活気に満ちていた。