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夢織のおすすめ商品

ルイ・フィリップ<br />
ルイ16世様式陶板付ボヌール・ドゥ・ジュール<br />
1840年代 フランス<br />

ルイ・フィリップ
ルイ16世様式陶板付ボヌール・ドゥ・ジュール
1840年代 フランス

フランス史におけるルイ・フィリップの治世は、産業革命が最も開花した豊かな時代でした。ルイ・フィリップ自身、自由主義貴族の代表であったため、企業家や銀行家など新興ブルジョワジーが台頭し、人々の暮らしは華やかに活気づきました。
そのルイ・フィリップ王の時代に制作された、ルイ16世様式陶板付ボヌール・ドゥ・ジュール。幅89cm・奥行44.5cm・高さ140cmという華奢な姿でありながら、重厚な趣。堂々たる存在感です。
嵌め込まれた3つの陶板には、「フランス王のために作られた」王立セーヴル窯の伝統に基づいた絵付けの伝統が見て取れます。
また、細部に見られるフランス王家の象徴フルール・ド・リス。「完璧さ」を追い求めるフランスの美意識に満ちた作品。それでは細部を見ていきましょう。

鮮やかな色彩で描かれた、鳥たちの風景。楽園を連想させます。
また、「鳥を愛でる」というのは、極めて貴族的な趣味であります。
もともとフランス王だけのために作られたセーヴル窯では、王にふさわしい完璧な作品を目指したため、絵付けには画家が雇われていました。名だたる画家たちのなかで、1750~60年代に脚光を浴びたエティエンヌ・エヴァンは、華麗な色遣いで知られ、特に「異国の鳥図」で人気を博しました。陶板に描かれた6羽の鳥たちは、それぞれ異なる色彩豊かな羽を広げています。描かれる構図や色遣いに、エヴァンの強い影響が見て取れます。特に、画面の両脇に灌木を描いて枠の代用にするのは、エヴァンが好んだデザインでした。エヴァンの美意識が、忠実に守られています。

暗褐色の極上のマホガニーは、陶板やオルモル細工を浮かび上がらせる格好の背景です。最高級の木材に背景の役割を与えるとは、フランスならではの贅沢さ。鳥たちを囲む黄金のオルモル細工。中央扉のオーバル型の陶板を装飾するオルモル細工は、中心にヴィーナスの象徴シェルが頂かれ、同じくヴィーナスの花である大輪の薔薇や、キリスト教で生命力の象徴とされる葡萄、朝露を帯びてたわわな豊穣の象徴イチジク、丸く柔らかく実る梨………。左右の扉の陶板には上下にシェル、花綱、アカンサス、そしてフランス王家を象徴するフルール・ド・リス。高貴さ、豪華さ、豊かさ全てを表現するオルモル細工です。

中央扉の左右には溝象嵌が施されており、薔薇・ユリのつぼみのオルモル細工が装飾されています。四隅を装飾するロゼット紋は、太陽の光を表現したロマネスクの伝統が香る意匠。扉左右の棚には、スタイリッシュな菱形の象嵌がなされており、棚の曲線と呼応して端正な印象を与えます。

左右の丸い引手を引くと、手紙を走り書きできるスペースが生れます。マホガニーの美しい木目が艶やかに輝き、この家具の保存状態の素晴らしさを物語ります。左右の扉付き棚と、中央の鍵が掛かる引出しは、古典的なデスクのデザインです。

直線的に伸びる脚は、ルイ16世様式の特徴で、グラマラスな家具のデザインに直線の要素を加えることで、華奢で豪華な印象を演出します。溝象嵌にはめ込まれたオルモル細工の優雅なユリのつぼみ、駒を意味する、足先の繊細な飾り「トゥピ・サボ」toupie sabots。フランス宮廷趣味が、脚のデザインにも集約されています。

そこに存在するだけで、空間を変えてしまう美の力。かつて王のみに捧げられた完璧な調度。妥協を許さない美への探求心………。
フランス宮廷が追い求めた美への思いが、この家具に宿り、見る者の目を捕えて放そうとはしません。

  • 1.フルール・ド・リス

    1.フルール・ド・リス

    フランス王家の象徴であるフルール・ド・リス(アヤメの花によるデザイン)。本品のオルモル(ブロンズ)細工にも優美に施されています。ルイ14世のガウンに見える黄金のフルール・ド・リス。

  • 2.ルイ・フィリップ(1773-1850)

    2.ルイ・フィリップ(1773-1850)

    シャトー・ドゥのためにセーヴルに注文したティーセットは時代を代表する工芸品と讃えられた。ルイフィリップ王の命によりフォンテーヌブロー城とプティトリアノンのためにつくられたセーブル窯プレート(夢織所蔵品)も存在する。

  • 3.ヘラルド・ファン・スペンドンク(1746-1822)による静物画

    3.ヘラルド・ファン・スペンドンク(1746-1822)による静物画

    王のための完璧な作品を追求するセーヴル窯では、花を描くにも花の構造から理解して作画することを求められ、王室付の細密画家であったスペンドンクが画家の指導に当たるといった徹底ぶりだった。ジョゼフィーヌ皇后付きの薔薇の画家ピエール・ジョゼフ・ルドゥーテも彼の弟子のひとり。

  • 4.「ヴィーナスの誕生」ボッティチェッリ作(1483年)<br />

    4.「ヴィーナスの誕生」ボッティチェッリ作(1483年)

    ボッティチェッリ作「ヴィーナスの誕生」。シュル(貝殻)の上に立つヴィーナス。ヴィーナスの象徴であるシェル(貝殻)は、本品(ボヌールドゥジュール)のオルモル細工による華麗なシェル装飾に見られ、気品高さを演出。

  • 5.「ヴィーナスの誕生」カバネル作(1863年)

    5.「ヴィーナスの誕生」カバネル作(1863年)

    アレクサンドル・カバネル作「ヴィーナスの誕生」(1863年)。ボッティチェッリから約400年後に描かれた「ヴィーナスの誕生」。海水の泡から生まれたばかりの美と愛の女神ヴィーナスは描いた作品はナポレオンⅢ世が購入。本品(ボヌールドゥジュール)はヴィーナスの象徴であるシェルとヴィーナスの花である大輪の薔薇が描かれている。

  • 6.トゥピ・サボ

    6.トゥピ・サボ

    トゥピ・サボとはフランス語で独楽と名付けられた足先の装飾。ルイ16世様式の高級家具に見られるデザインで、重厚な家具に可憐で軽快な印象を与える。画像右は十代のアントワネット。本品に施されたトゥピ・サボはエレガントな佇まいを演出。

  • 7.王立窯セーブル

    7.王立窯セーブル

    ルイ15世はポンパドゥール公爵夫人を擁護し、ヴァンセンヌにあった磁器製作所をヴェルサイユとパリの中間地点であるセーヴルに移転させた。セーブル発祥の高貴なターコイズブルー色は本品を象徴する陶板として装飾されている。

  • 8.「ポンパドゥール・ピンク」

    8.「ポンパドゥール・ピンク」

    セーヴル窯の「ポンパドゥール・ピンク」の調合法は、開発したエローの死と共に永遠の謎となった。写真は、夢織所蔵による、かつてミントン美術館に所蔵されていたオランダ花瓶。セーブル窯の「ポンパドゥール・ピンク」の技術がミントン窯に伝わり、ミントン窯が最盛期を迎えたころの作品。

  • 9.最高の美が表現された装飾家具

    9.最高の美が表現された装飾家具

    ヴィーナスの象徴シェル、同じくヴィーナスの花である大輪の薔薇、キリスト教で生命力の象徴とされる葡萄、朝露を帯びてたわわな豊穣の象徴イチジク、そしてフランス王家を象徴するフルール・ド・リス。高貴さ、豪華さ、豊かさ全てを表現する装飾が施された、神聖なる装飾家具。”美”への飽くなき追求の結晶とも言える逸品。