1804年12月2日。革命後の荒廃したフランスに、再び栄華が花開く時代が到来しました。皇帝ナポレオン1世戴冠式。ヨーロッパの戦場に数々の伝説を創りあげ、英雄の名をほしいままにしたナポレオンは、皇帝の位を手にし、ヨーロッパのほぼ全土を制圧します。そのカリスマ性は政治のみならず芸術にも影響をもたらし、アンピール(皇帝)様式と称される勇壮なスタイルを生み出します。アンピール様式は、スゥエーデン、ドイツ、ロシア…やがてヨーロッパ各国の宮廷で大流行し、今日まで幾度となくリバイバルされて来ました。
そのアンピール様式による、豪華なブロンズ装飾と光を通す大理石アラバスターを贅沢に使用した荘厳なシャンデリア(6灯)。アンピール様式が、復興され流行した20世紀初頭の作品です。古代ギリシャやローマに触発された、金と黒を基調とした豪奢で古典的なアンピール様式。ブロンズが織りなす重厚なフォルム。ガラスではなく、大理石アラバスタ―がシェードに使用された豪華な演出。従来のアンピール様式の特徴に加えて、1900年頃のフランスの繁栄を象徴する、新しいアートの要素も感じさせる荘厳なシャンデリアです。