クリスタルガラスの製造を開始した1816年は、バカラの歴史の新たな始まりの年となりました。その成功の証に、わずか3年後には、初めての王家からの注文、ルイ18世からテーブルセット一式のオーダーが出されています。シャルル10世、ルイ・フィリップとフランスの君主たちがこぞってバカラクリスタルガラスを求めたのです。
その評判は世界中に知れ渡ることとなり、1930年トルコへの海外輸出を皮切りに、インドのマハラジャやアラブの王、ロシアのロマノフ王家、アメリカのフランクリン・ローズベルト大統領など、各国の王侯貴族や著名人からテーブルウエアやシャンデリアの注文を受け、彼らに愛されました。こうしてバカラ社は世界的なガラスメーカーへと成長していったのです。
そのバカラによる、特注制作された2つのイニシャル入りグラスセット。世界各国から特注されたグラスがしばしば紋章やイニシャルなどで飾られていたように、今回の2つのグラスセットにも精巧なモノグラムの装飾が施されており、オーダーさせた注文主の権威の高さが窺えます。「王者たちのクリスタル」と呼ばれた荘厳なクリスタルガラスに施された美しいグラヴィールカットによるイニシャル。王者の風格を纏ったグラスは、ダイニングテーブルを気品高く演出します。