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1.精巧なグラヴィールのモノグラム
3種類のワイングラスとシャンパンクープ、デキャンタからなるセット。全て「CO」という文字の装飾(モノグラム)がなされています。「C」の文字にデザインされたドットは彫り込まれた後に磨きあげられて、ひとつひとつがまるで宝石のように輝きます。細部にまで気を配った手仕事からは、数度開催されたパリ万博に合せて新しいものを生み出そうと、職人が競い合って洗練させていった、当時の技術力の高さを感じさせます。
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2.グラヴュールカットのワイングラス
美しいフォルムのワイングラス。グラス中央には「CO」という文字の美しい装飾(モノグラム)。グラヴィールはバカラで用いられている技法の中でも特に高度な技術を要するもので、本品のモノグラムも非常に繊細な描線により描き出されています。
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3.繊細に施されたカット
フットとステムとデキャンタの首の部分のカットは非常に細密で、そのカット面とクリスタルガラスの光沢が反射して、美しく光を放ちます。
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4.グラヴュールカットによるシャンパングラス
美しいフォルムのシャンパングラス。ヨーロッパのテーブルウエアで欠かせないグラス。優美な円形型のグラス、繊細なカットが施された格調高いステムとフット。泡立つシャンパンが注がれると、このグラスの最高の美が完成されます。
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5.グラヴュールカットのデキャンタ
バカラのクリスタルガラスの良さが最大限感じられるデキャンタ。繊細なクリスタルガラスは屈折率の大きい良質なものでなければ、どんなに高い技術であっても、その良さは引き立ちません。本品の優美な煌きはバカラのクリスタルガラスならではものです。
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6.デキャンタのトップと蓋の装飾
デキャンタのトップと蓋にまで美しいカットが施されています。見えないところまで手を掛けたものが、”ほんもの”の一級品と言われます。王侯貴族をはじめ世界中のブルジョワが特注していた、当時のバカラが成せるこだわりです。
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7.金彩イニシャル入りワイングラス
豪華な金彩による5種類のイニシャル入りグラス。ある高貴な家の婚礼の宴では、2人の絆を表すモノグラムに想いを込めたこのグラスが、2人の明るい前途へ光を射すように輝いていたことでしょう。また、本品では、文字を彫り込んでから金彩を施しているため、モノグラムがより強調され、華麗な雰囲気を演出します。
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8.華やかな金彩のモノグラム
こちらのグラスは「MAD」(MAOの可能性も有)の3文字からなる金彩モノグラムで飾られています。このような3文字のモノグラムはよく婚礼の際に使用する品物に刻印されていました。主役としてテーブルの上に飾られていたことが想起されます。
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9.金彩グラスのステム
ワイングラスのステムやフットにはふんだんにカットが施されています。技巧をこらしたカットと、現代のものにはないアンティークバカラ特有のガラスの質感が、なんとも柔らかい光を創りだしています。
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10.金彩グラスのステムの下の装飾
フットまで施された繊細なカット。贅沢に入れられたカットにより芸術の域にまで高められています。このグラスが特別なものであることを示します。
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11.金彩リキュールグラス
小振りながら存在感ある金彩リキュールグラス。宝石のように美しく輝いています。
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12.金彩ハンドル付グラス
同じイニシャル付きの大小のハンドル付きグラスは大変に珍しいものです。モノグラムのデザインも「D」の文字が他のワイングラスのものとわずかに異なっており、このグラスに対する注文主の強いこだわりが感じられます。
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13.装飾性豊かなハンドル
金彩ハンドル付きのグラスに美しく装飾されたハンドル。この時代のバカラのシャンデリアや燭台に見られる、流れるような優美なラインに施された捻れ装飾。王者の風格を放ちます。
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14.バカラ
1764年10月16日、司教モンモラシー=ラバルにより、ガラス製造工場建設を求める請願が出されました。当時のフランスはボヘミアからの輸出に頼っており、アートガラス製造は未発達でした。「その輸出額は驚くべき程に上り、国庫をひっ迫させている」との訴えを聴きいれ、ルイ15世は工場開設の承認を与えます。その用地として選ばれたのがモーゼル川の支流ムルト川沿いにあるバカラ村でした。革命やナポレオン統治期の混乱を乗り越え、世界随一のクリスタルガラスメーカーへと飛躍します。
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15.クリスタルガラス
クリスタルガラスは、ヨーロッパ共通の定義として、屈折率1.545以上、又は鉛の含有率24%以上と定められています。1671年イギリスの工場で誕生したクリスタルガラスは、従来のものにはない透明感があり、眩いばかりの輝きを放っていました。その美しさに驚嘆した職人たちの「天然の水晶のようだ」という言葉が、その呼び名の由来と言われます。また、従来のものより硬質な為、より繊細なカットやグラヴィールが可能となり、ガラス製品を装飾芸術の最高峰にまで高めました。
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16.グラヴィール彫刻
バカラで用いられた技法のひとつに、小さな銅製の円盤を表面に押し当て、フリーハンドで模様を刻みこむ方法があります(カッパーホイールエングレイヴィング法) 。1939年以降、ボヘミアから招聘したジャン=バティスト・トゥサン(Jean-Bapiste Toussaint)らがもたらした技術により、バカラのグラヴィールは進歩をし続けました。あらゆる技法の中でも、特に高度な技術を必要とするこの技術を習得した職人はガラス職人の中でも最高のマイスターとされました。写真は夢織所蔵によるバカラタンブラー。
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17.ワイングラス
最古の酒とも言われるワインがヨーロッパに広まったのは古代ローマ時代で、当時はガラスが大変貴重で高価なため、主に鉛や陶器製の器が使われました。中世にはキリスト教でワインがイエスの御血として儀式に欠かせないものとなり、ミサでは金や銀製のカリスという杯が用いられました。ルネサンス以降に娯楽としての飲酒が普及し、酒場ではブラックジャックという革製の容器でふるまわれました。ガラス製の脚付きグラスはガラス製造の改良が進んだ14世紀初めにようやく登場します。
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18.テーブルウエアとしてのグラス
18世紀まで、グラスは食事が始まった後もサーブテーブルに置かれたワインクーラーの中にあり、召使が必要に応じて何度も運んでいました。グラスがテーブルの上に並べられるようになったのは19世紀初めになってからのことです。王政復古期(1814年~1815年)において、食事前に客一人ずつの席にあらかじめセッティングするようになりました。また、クープ(ソーサー)型のシャンパングラスは口が広く注ぎやすい為に、大人数の集まる晩餐会でも迅速に給仕でき重宝されました。
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19.バカラ特注グラス
1899年、エミール・ルーベがフランス共和国大統領に当選した際に、バカラ社にグラスセットをオーダーしています。バカラがグランプリを獲得した1867年のパリ万博に出品されたジュヴィジーグラスに、フランス共和国(la République française)のイニシャル「RF」を刻印させました。今日においても、大統領公邸であるエリゼ宮で行われる公式の昼食会や晩餐会のときには、このグラスが使用されています。
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20.バカラと日本の皇室
諸国の王侯貴族に愛され、「王者たちのクリスタル」と称されたバカラ。日本の皇室もまたバカラとの関わりを持っています。1909年(明治42年)に皇室よりワイングラスのオーダーがなされています。特注で作られたグラスには皇室の菊花紋である十六八重表菊が刻印され、現在パリ郊外にあるギャラリーミュージアムにも展示されています。また、1921年(大正10年)のヨーロッパ訪問の際には、当時皇太子であった裕仁親王(昭和天皇)がパリのバカラ社を訪問しています。
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21.モノグラム
人名や地名のイニシャルやスペルを組み合わせて図案化したモノグラムは、古くは5~6世紀のキリスト教世界にみられます。キリストを表す「XPI」や「HIS」のモノグラムは現代に至るまで尊ばれています。その後、次第に装飾的な要素を加えて、王侯貴族の住居や身の回りの品を飾り、その人物の権威を示す役割を担うようになりました。また、夫婦の名や姓を合せた婚姻やその絆の証としても用いられています。このようなモノグラムの伝統は、現代でも高級ブランドのロゴなどに受け継がれています。
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22.輝き続けるイニシャル入グラス
時代と流行を超越して輝き続けるバカラのクリスタルガラス。
特に、今回ご紹介したグラスセットは、アンティークバカラならではの温かみある透明感を備えており、ひとつの作品ともいえる究極の逸品です。
いつまでも色あせることのないその煌めきをご体感ください。