紺碧に光り輝く地中海の恵みを享受するフランスのコートダジュールと、一年を通じて花々が咲き乱れるイタリアのリヴィエラ海岸に挟まれた、ヨーロッパ屈指の高級リゾート地、モナコ。
そのモナコはモンテ・カルロの高台に所有していた豪華なヴィラから譲り受けた品の一つ、ナポレオンⅢ世時代のシリンダービューローです。
18世紀、ロココ芸術の誕生でヨーロッパの建築・美術様式は体系的に確立されます。
その後、ヨーロッパはギリシャ・ローマスタイルの復活・ゴシックリバイバルなど、過去の様式を再発見し、時代に取り入れる歴史を歩みます。特にこの作品の時代は、様々な過去の様式を取り入れました。この作品は、ルイ16世様式にナポレオンⅠ世時代のアンピール様式を取り入れたもの。ロココの伝統を踏まえた優美で可憐なルイ16世様式と、ギリシャ・ローマの帝政時代の威厳と格式を礼賛するアンピール(皇帝)様式の融合は、特に19世紀末のヨーロッパ上流階級に好まれました。
当時の王侯貴族趣味を象徴する、由緒ある御邸より入手した逸品です。