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「女神と天使」ブロンズ装飾ヴィトリン<br />
1880年代 フランス<br />

「女神と天使」ブロンズ装飾ヴィトリン
1880年代 フランス

1870年代フランス。ナポレオンⅢ世治世下、華やかさを取り戻したパリで、フランソワーズ・リンケという新進気鋭の家具作家が注目を集めます。リンケが復活させた、宝石のように美しいロココ様式の家具。1878年、そして1900年に開かれたパリ万博で、リンケは決定的な名声を得るようになります。スゥエーデンやベルギーなどヨーロッパ各国の王族や、新興実業家や銀行家などのブルジョワジー、日本の富豪などが、競ってヴァンドーム広場にある「ラ・メゾン・リンケ」を訪れました。

今でも世界中のコレクターの目を惹きつけてやまない、華麗なブロンズ装飾が全体に施された、フランソワーズ・リンケの手法を用いて制作された本品。英国の御邸から入手した、19世紀後半にフランスで制作された逸品です。フランス上流階級の暮らしを彩った、贅沢な装飾家具。見る者を夢見がちな気分にさせる華麗な佇まいと圧倒的な存在感を兼ね備えた逸品です。

  • 1.最高に贅を尽くした装飾家具

    1.最高に贅を尽くした装飾家具

    琥珀のようにつややかに光り輝くマホガニー。わずかに紫色を帯びた木目が複雑に象嵌細工され、万華鏡を覗いたような風景を作り上げます。落ち着いた木肌の美しさに、オルモル細工が見事に浮かび上がります。 リンケの作品は、複雑な象嵌と華麗なオルモル細工が特徴と言えます。

  • 2.「女神へステア」オルモル細工

    2.「女神へステア」オルモル細工

    扉下部の大ぶりなオルモル細工。ここにもギリシャ神話の世界が物語られています。 祭壇の女神ヘスティアが、神殿の炉に聖火をくべています。カメオスタイルの陶板を模してつくられたオルモル細工は、この優雅な家具を象徴する装飾です。女神がかむった衣はわずかにたなびき、衣越しに浮かび上がる豊かな肉体は、永遠の若さと美しさを愉しんでいるかのようです。 取り囲むリボン。繊細なドレープを重ねるデザインは、マリー・アントワネットが好んだ装飾モチーフです。左右に広がる羽模様のスクロール。優雅な曲線に添えられた咲きたての薔薇は、甘くすがすがしい香りまで放っているかのようです。葉の一枚一枚まで精密に彫刻され、磨き上げられています。

  • 3.女神が宿るような気品高い脚

    3.女神が宿るような気品高い脚

    S字型に曲線を描く4本の脚。それぞれにオルモル細工が装着されています。ロココの時代の貴婦人の靴を連想する豪奢なデザイン。細部に美の女神が宿るようです。 ヨーロッパが、その最も美しかった時代を謳歌していた日々…。 うたかたの夢は、未だ覚めることなくこの美しい家具に宿り、見る者の目を楽しませてくれます。

  • 4.「天使」オルモル細工

    4.「天使」オルモル細工

    奔放な天使たちが戯れています。愛らしいプット(天使)の上半身、下半身は牧神パーン。得意な笛をくわえ、音楽を心行くまで楽しむ愛くるしい表情。柔らかな姿。そのまなざしは、暖かな幸福感に満ちています。ロココ芸術において、プット(天使)は重要な装飾モチーフですが、パーンに扮したプットは、なんとも遊び心に溢れ、目にしたものは皆、愛らしい姿に惹きつけられ幸福な気分に包まれます。うららかな旋律が聞こえてくるようです。

  • 5.神聖な「女神」オルモル細工

    5.神聖な「女神」オルモル細工

    正面扉左右上部に装飾される女神の姿。慈悲深いまなざしをこちらへ向けています。どこか愁いを帯びた表情は、美の女神ヴィーナスを連想させます。大粒の真珠の首飾りが見事です。ギリシャ神話には、キプロス島に上陸したときヴィーナスの肌をしたたり落ちた海水が、真珠に化身したという伝説があります。

  • 6.優美な「リボン」オルモル細工

    6.優美な「リボン」オルモル細工

    左右に広がるリボンでつながれた花綱。編まれたみずみずしい花々のずっしりとした重みさえ、感じられます。アントワネットが愛したリボン装飾が美を演出します。

  • 8.「天使」名画_1

    8.「天使」名画_1

    ブーシェ「詩の寓意、キューピッドたち」(1760-1770年)。ブーシュの描いたキューピット達のように、本品のオルモル細工に、天使が笛を楽しそうに吹く姿が可憐に描かれています。

  • 9.「天使」名画_2

    9.「天使」名画_2

    ブーシェ「音楽の寓意」(1764年)。芸術と音楽を表現した絵画。天使がハープを弾く姿は、本品の天使の笛を吹く姿のように愛らしく描かれています。

  • 10.「ポンパドール夫人肖像」

    10.「ポンパドール夫人肖像」

    ブーシェによる「ポンパドゥール夫人肖像画」。ロココ芸術の偉大なるパトロンであった夫人は、ブーシェを国立セーヴル窯のデザイン担当理事に任命した。本品はその華麗なるロココ様式を基に制作されています。

  • 11.「ヴィーナスの誕生」

    11.「ヴィーナスの誕生」

    「ヴィーナスの誕生」サンドロ・ボッティチェッリ(1483年)。美と愛の象徴であるヴィーナスが、本品のオルモル細工に神々しく表現されています。

  • 12.「ヴィーナスと天使」名画

    12.「ヴィーナスと天使」名画

    コレッジョ作「眠れるヴィーナスとキューピッド、サテュロス」(1526年頃)。天空では無く、地上の愛を表現した名画。ヴィーナスと天使は、本品の装飾にも神聖に描かれています。

  • 12.女神ヘスティア

    12.女神ヘスティア

    本品の主題の一つである「女神ヘスティア」。女神ヘスティアが神殿の炉に聖火をくべている姿を豪華なオルモル細工で見事に表現しています。

  • 13.ナポレオンⅢ世

    13.ナポレオンⅢ世

    ナポレオンⅢ世(左)と美貌の皇妃ウジェニー(右)。装飾芸術の黄金期と呼ばれる19世紀。ナポレオンⅢ世時代に、本品のようなオルモル細工の装飾家具が作られ、王侯貴族をはじめ上流階級に好まれます。

  • 14.リンケの展示会

    14.リンケの展示会

    フランソワ・リンケによる家具作品はパリ万博をはじめ多くの展示会で世界から賞賛を浴びます。本品のような豪華なオルモル細工による装飾家具をリンケは得意としていました。 1900年パリ万博のリンケ展示品(左)
    1900年パリ万博ポスター(右)
    1878年パリ万博(下)

  • 15.「女神と天使」ヴィトリン

    15.「女神と天使」ヴィトリン

    宝石のように輝きながらも神聖な雰囲気を放つ本品。ルネッサンスからロココの名画に見られる、「女神と天使」をテーマに最高の美を表現しています。究極の美ロココをさらに進化させ、装飾芸術の黄金期を象徴する逸品です。