1870年代フランス。ナポレオンⅢ世治世下、華やかさを取り戻したパリで、フランソワーズ・リンケという新進気鋭の家具作家が注目を集めます。リンケが復活させた、宝石のように美しいロココ様式の家具。1878年、そして1900年に開かれたパリ万博で、リンケは決定的な名声を得るようになります。スゥエーデンやベルギーなどヨーロッパ各国の王族や、新興実業家や銀行家などのブルジョワジー、日本の富豪などが、競ってヴァンドーム広場にある「ラ・メゾン・リンケ」を訪れました。
今でも世界中のコレクターの目を惹きつけてやまない、華麗なブロンズ装飾が全体に施された、フランソワーズ・リンケの手法を用いて制作された本品。英国の御邸から入手した、19世紀後半にフランスで制作された逸品です。フランス上流階級の暮らしを彩った、贅沢な装飾家具。見る者を夢見がちな気分にさせる華麗な佇まいと圧倒的な存在感を兼ね備えた逸品です。