大英帝国史上、空前の繁栄を誇った時代、ヴィクトリア期。7つの海を支配した帝国には、様々な宝石、高級銘木、金糸銀糸が織り込まれた絹織物、極上のシガーや東洋の漆器………世界中のありとあらゆる物資が集中し、人々は豊かさを謳歌しました。
広大な領地には、貴族達が自らの権力の象徴として贅をつくした邸を構えました。広大な玄関ホール、古代ギリシャの神々がブロンズ像となって居並ぶ控えの間、家紋入りの革張りの蔵書が整然と並べられたロング・ギャラリー、館の主が支援するピアニストが新作を発表する場であるミュージックルーム、巨大なバカラのシャンデリアが燦然と輝くダイニングルーム………邸はまた、貴族社会にとって最も重要な社交の場でありました。
そのヴィクトリア女王治世の上流階級の繁栄を象徴する、豪華な金箔が貼られたソファ。存在そのものが、空間をぬり替えてしまう迫力。英国のマナー・ハウスから譲りうけた逸品です。このスタイルのソファは、ヨーロッパの名だたるお城に見受けられます。
ヴィクトリア女王時代の英国で、リバイバル流行した新古典主義のデザインが、黄金に光り輝くソファに風格を与えます。目にするだけで、心躍る美しさ。かつてどんな人物たちがソファが置かれた空間を彩ったのでしょうか。この豪華なソファを中心とした華麗なる室内装飾の中、貴族の社交界が繰り広げられていた情景が目に浮かびます。