SOLD OUT |
「コモード」とは、私たち日本人にはあまり聞き慣れない言葉ですが、ヨーロッパの代表的な装飾家具のことで、お城や大邸宅に見られるものです。
17世紀の昔、ルイ14世お抱えの宮廷家具作家アンドレ・シャルル・ブールが発明した豪華な調度品で、元々は便利な化粧台だったのが、天才作家ブールによって王にふさわしい家具に改良されたのです。
宮殿内では主に、豪華なコーナーカップボードと対で設えられました。ミラーや絵画の下に置かれ、しばしば美しい庭が一望できる窓辺の壁際に配置されました。天板の大理石の模様は、マントルピースに使われる大理石と揃えられて愉しまれました。
本品は、ルイ14世の宮廷家具コモードを象徴する、ルイ・フィリップ王時代に制作された逸品です。
細部のブロンズ細工や前面に施された象嵌細工が、ため息を誘う、まさにマスターピース(最高傑作品)です。ブールの時代には見られなかった、この優雅で華麗なたたずまいには、さぞかしブールも嫉妬することでしょう。
幅106cm、奥行53cm、高さ85cmの華奢な姿ですが、表現豊かな装飾表現の効果で、実際のサイズより大きく感じます。
天板は分厚い大理石。バラ色・緑かかったグレイ・ゴールド・象牙色………色彩が波のように折り重なり、美しい風景を作り上げています。
宮廷家具の装飾としてしられるオルモル細工(ブロンズ装飾)が家具全体に格調高く施され、果物の木等の各種木材による芸術性高い象嵌細工をさらに引き立てます。象嵌細工は当時の最高の技術が駆使され、オルモル細工と同様に宝石のように輝く本品の象徴です。
エプロン部分には、豊穣の瑠祥文様ザクロ文が装着されています。旧約聖書のソロモン王の時代には、王冠を頂く果実として権力を象徴し、宮殿の柱にデザインされていました。
側面の放射線状に木目が広がる象嵌は、ダイヤモンドリバースマッチ(逆ダイヤモンド象嵌)です。
芸術作品のような象嵌細工と荘厳なオルモル細工が織りなす本品は、まさにマスターピースと呼ぶに相応しい仕上がりです。ルイ14世の王侯貴族趣味を体現した、圧倒的な存在感を放つ逸品です。