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ナポレオンⅢ世 金箔スクリーン <br />
1860年代 フランス

ナポレオンⅢ世 金箔スクリーン
1860年代 フランス

19世紀末フランス。夜毎の舞踏会、音楽家や詩人を招いて集うサロン、大規模な鹿狩り、オペラ座の桟敷席、豪華列車でのイスタンブールへの旅………貴族文化が華やかなりし時代。お城や大邸宅と呼ばれるお邸には、必ず自慢のスクリーンが設えられていました。王侯貴族の生活の一部として設えられた様々な装飾芸術品の中にあって、スクリーンはひときわ華やかです。
本品は、フランスはナポレオンⅢ世時代の繁栄を象徴する金箔スクリーン。或るフランスの大邸宅から譲り受けた稀少なもの。空間を仕切るという用途を果たすだけでなく、室内に置くことで空間を豪華に魅力的に塗り替えてしまいます。木彫の枠に金箔をあしらった至高の貴族趣味のスクリーン。華やかさ、美しさ、優雅さ…艶然と光り輝く姿に圧倒されながら、ため息が言葉を奪っていきます。お邸の女主人ご自慢のサロンで、華麗にたたずんでいた存在………
それでは細部を見ていきましょう。

木彫技術の粋が、あらゆる細部に宿っています。頭頂部の花籠に盛られた、咲き誇る満開の花々。籠の網目のニュアンスまで緻密に彫り込まれています。今朝咲いたばかりの香り高いバラをさしたような風情です。ヨーロッパの木彫技術は、16世紀にオランダやベルギーを中心に教会の内部装飾に始まり、家具や楽器にその技術が活かされ発展しました。緻密で高度な木彫に金箔を貼るのは、まさに貴族趣味の骨頂と言えるでしょう。
メダイヨン型の枠に飾られた、高潔な白薔薇。その気高い姿を取り囲む花々花びら一枚一枚が、はかなく美しく表現されています。左右のリボンのドレープが、可憐なツリガネソウの花綱に連なります。金箔が、花々やリボンの陰影に高貴な表情を与えています。

左右の彫刻装飾。鏡が貼られたパネルには、皇帝の徽章を連想させるリボンがツリガネソウに変化し、結びつき、やがてアカンサスのダイナミックな曲線に絡み取られています。ヨーロッパの古典的な装飾意匠が共鳴し合いながら、透明な湖面を想起させる鏡に浮かんでいます。スクリーンの片側だけに付けられた鏡。美しい貴婦人が、髪にさしたダイヤと黒真珠で作らせた黒葡萄の髪飾りを、鏡に映しながらそっと指で押している姿が目に浮かびます。
そして、左右のスクリーンに伏せるように置かれた、たいまつに活けられた薔薇。たいまつは、ヨーロッパでは古代より愛の天使クピドーの象徴とされてきました。たいまつの炎の代わりに活けられた、甘く狂おしく咲き乱れる薔薇の花。鮮烈な愛のメッセージが、ロマンティックにスクリーンを飾ります………。
スクリーンの張り替えは、弊社社長萬田あけみのデザインです。中央に純白の花々が刺繍され、左右を波のように囲む意匠は、ヴィーナスを連想させます。紺碧の地中海の泡から産まれた美の女神ヴィーナスは、シェルの小舟に乗って、さざ波を立てながらオリュンポスの神々の島へ上陸しました。小舟を降りたヴィーナスが足を踏み入れると、野一面に花が咲き乱れたという伝説が語り継がれています。清楚な花々と波紋のように広がる刺繍が、このあまりにも豪華な金箔のフレームに、可憐な表情を加えます。
サロンの女主人のご自慢のスクリーンの陰から、若いピアニストが現れました。バラ色に高揚した頬で、サロンに集う選ばれた聴衆の前に演奏を始めます。女主人が集めた、宝石のように煌めく社交界の中心人物達………新しい鼈甲のモノクル(鼻眼鏡)が自慢の将軍、珊瑚とバラ色の七宝細工の髪飾りがブロンドに美しい美人で有名な大公夫人、日本趣味に耽る孤独な青年伯爵………彼らはやがて、ピアニストの奏でる曲の中に、ニースのプロムナード・デ・サングレで聞こえた潮騒の音や、バーデンの菩提樹の下でみえる木漏れ日を想いうかべ、それぞれの感嘆に浸ります。やがて大喝采で演奏は終了し、ピアニストの名声は約束されました。
胸が苦しくなるほど甘い、咲きたての白薔薇の薫り。金箔の上をなぞる光の戯れ。ヴィーナスが化身したかのような優雅なスクリーン。
100年以上の時を経ても、美しさは色あせることなく、あの日のサロンのまま、燦然と、空間に君臨します。

  • 1.金箔スクリーンのによる室内装飾

    1.金箔スクリーンのによる室内装飾

    豪華な金箔スクリーン。城や貴族の館ではスクリーンとしての家具の用途だけでなく、華麗な室内装飾を彩るために制作されました。本品は貴族趣味を象徴する装飾家具です。

  • 2.金箔装飾家具(夢織所蔵).1

    2.金箔装飾家具(夢織所蔵).1

    金箔スクリーンと同時代(ナポレオンⅢ世)の金箔ショーケース(夢織所蔵)。このショーケース(画像)の正面ガラスの接合部から金箔がたくさん見つかりました。この時代の金箔作品は贅を尽くして制作されています。

  • 3.金箔装飾家具(夢織所蔵).2

    3.金箔装飾家具(夢織所蔵).2

    王侯貴族趣味による金箔サロンセット(夢織所蔵)。由緒ある古城に見らえる、綴織りと金箔による装飾芸術です。

  • 4.パイプオルガン

    4.パイプオルガン

    パイプオルガンは、教会内部装飾の粋です。本品の意匠を連想させます。

  • 5.貴婦人の居室

    5.貴婦人の居室

    マリー・アントワネットのブドワール(貴婦人の私室)。マリー・アントワネットは本品のような黄金の装飾を愛しました。

  • 6.ポンパドゥール夫人の居室

    6.ポンパドゥール夫人の居室

    ベルサイユ宮殿にあるポンパドゥール夫人の居室。

  • 7.「ヴィーナスの誕生」

    7.「ヴィーナスの誕生」

    「ヴィーナスの誕生」サンドロ・ボッティチェッリ(1483年)。本品は美と愛の象徴であるヴィーナスを連想される佇まいです。

  • 8.サロンの室内楽風景

    8.サロンの室内楽風景

    ジェームス・ティソ作“Hush!”お邸のコンサート風景。本品は19世紀の華麗なるサロン文化の賜物と言えるでしょう。

  • 9.皇妃ウジェニー・ド・モンディージョ

    9.皇妃ウジェニー・ド・モンディージョ

    ナポレオンⅢ世皇妃ウジェニー・ド・モンディージョ。19世紀末の貴族文化を牽引しました。本品はそのナポレオンⅢ世治世に制作されたスクリーンです。