1870年代
フランス
マホガニー
W100cm D46cm H164cmフランス装飾芸術史上最高のスタイルと評される、ロココの神髄を表現したヴィトリン(ショーケース)。正面の扉下方に描かれた、戯れる貴族の男女の姿。ロココを代表する画家であるアントワーヌ・ヴァトーが確立したフェート・ド・ギャラント(雅宴画)という絵画表現です。その絵画には絵付師Paoliのサインが刻まれています。野辺で愛を語る17世紀の貴族の男女の場面が軽妙な筆致で見事に描かれています。また、家具隅々にまで施された表現豊かなブロンズ細工が素晴らしく、特に頭頂部の唐草のスクロール(渦巻)文様は、マリー・アントワネットのヴェルサイユ宮殿でお気に入りだった「黄金の間」にも見られる高貴な装飾です。ショーケース内の張地は赤ベルベッドで張替え、さらに華麗に蘇りました。ショーケース内には照明が取り付けられており、中に飾ったものが最高に美しく映えます。名窯マイセン、セーブルによる作品をこのショーケースに飾り、貴婦人が優雅なひとときを過ごしていた情景が想起されます。ロココの華麗な装飾表現がふんだんに織り込まれた贅を尽くした装飾家具です。