1900年代
フランス
W58cm D37.5cm H71cm今回ご紹介するネストテーブルは、日本で世界初めての大々的な個展が開かれたといわれるほど、日本人の心をつかむ、日本の“美”を巧みに表現したエミール・ガレの作品です。
4段のネストテーブルは一段ずつ違ったデザインが取り入れられています。いずれも引き出すごとに“あっ”と声の出るデザインばかり。一段目は、水仙の咲く水辺の景色、二段目は、水辺に静かに揺れる三艘の小舟、三段目は、三匹の猫がミルクを飲み、最後のテーブルは、再び水仙の花で、そのストーリーが締め括られています。
ストーリーの中心に描かれている猫は、ガレの大好きなペットだったと言われています。パリの文壇でガレの作品を取り上げ、社交界ではガレ自身を要人に紹介する、サポーターであり、パトロンでもあったモンテスキュー伯爵から、ガレに猫をプレゼントされたという話が残っているほどです。水仙は西洋でも春を告げる花として親しまれ、属名のナルッキソス(Narcissus)は、ギリシャ神話の青年の名で、泉に映った自分の姿に恋して死に、その後にこの花が咲き出したという話にちなんでその名が付けられた逸話もある花です。イギリス王立園芸協会によるスイセンの園芸分類は非常に多く、元となっている野生種など含め、12の部門もあるそうですが、その中からガレが選んだこの水仙はグランドモナークと呼ばれ、ニホンスイセンより少し花が大きく細く伸びた白色の花弁の先が尖り、副花冠が黄色の園芸品種です。モナークの意味は王者、君主、その花言葉は、思い出・記念。テーブルのデザイン、象嵌に使われた木目まで選び抜かれた木材の一つ一つに、ガレの真心が感じられる稀少な逸品です。
大好きな猫、王者の意味を持つ水仙、その水仙の泉に関わるギリシャ神話の逸話、異なる4段のテーブルに込められたガレの想いとは…。日本美術を崇拝したフランス人ガレの芸術観が込められた逸品です。
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