1910年頃
英国
ウォルナット
W620cm D480cm H860cm18世紀のイギリス貴族社会では、国会が催される時期、ロンドンに所有するタウンハウスへ、それぞれのカントリーハウスから家族・召使こぞっての大移動が恒例化していました。当時、都市化が進むロンドンでは、人口の増加が著しく限られた土地に効率的に暮らせる「ジョージアン様式」(※当時の王の名前にちなんでいます)のタウンハウスや、テラスハウスが徐々に普及しました。直線的で、左右対称の、余計な装飾を一切省いたシンプルなジョージアン・スタイルは、イギリスのモダンデザインの先駆けであったと言えます。
シンプルなデザインのチェスト。前面にウォルナットの化粧張りが施された贅沢な逸品です。天板や引出部分には、全面にウォルナットのバール(杢)が使われています。100本のうち1本の確率でしか採れないため、極めて価値が高い木材です。
天板の真下、左右の取手をゆっくりと引き出すと、さらなる天板が現れ、天板部分が拡張されます。効率良く空間を利用する都会生活において、考え抜かれた用途です。その下、左右の可憐な花形のドロップハンドルが、デザインを引き締める4つの引出。表面には本を左右に開いたように、対照的にバールが化粧張りされています。そして、極めてデザイン性が高い足の部分。優しい曲線の織り成すシンプルなデザイン。どこかアーツ&クラフツの意匠を連想させます。
シンプルにして、贅沢な素材を惜しげなく使ったチェスト。イギリスの洗練が、お部屋を瀟洒な空間に変化させます。
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