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獣類中、最も勇敢で高貴な性質をもつとされる〈百獣の王〉ライオン。エジプトでは太陽または夏の象徴,ギリシア・ローマでは人間を除く動物のうち唯一慈悲心をもち,女性や子どもを襲わない高潔な猛獣と考えられました。アッシリアの各王朝では国王がみずから狩る獲物であり、強大なその力は目に集中しているためライオンは眠るときにも目を閉じないと言い伝えられました。この特性により、ライオンは見張番の象徴となり,家の門や扉に彫刻が飾られるようになったと言われています。
古代の女神の玉座の2頭のライオン、エジプトの人身ライオン頭の女神、英雄の鎧の肩の獅子噛み、インドの人間ライオン、イギリスの王室のエンブレム等々に代表される「勇気」「強さ」「威厳」「貴族」そして「王族」の象徴として古代から扱われるライオンによる装飾。
その権威の象徴であるライオンの彫刻が3つの背面に装飾された荘厳なセティ。ヨーロッパの王侯貴族を象徴する意匠であり、国章としても使われるライオンの全体像が彫られることは極めて稀なことです。権威ある身分のオーダー主により、自身を示すものとして特別にオーダーされたことが推察されます。その2頭のライオンの間の最も目立つところに、「A」と「D」の彫刻が彫られています。自身のイニシャルか、西暦紀元後を示す「A.D」なのか、それとも特別な意味が隠されているのか・・・想像が膨らみます。家具に文字の彫刻を施すことは、作家の作品以外にあまり見られないことであり、本品が特別な家具であることを物語っています。
主の特別な想いが詰まった格式高いセティ・・・ライオンのような強さと気品高さを備えた最たる逸品です。
参考文献:平凡社世界大百科事典
「勇気」「強さ」「威厳」「貴族」そして「王族」の象徴として古代から扱われるライオンの装飾。見張番としての意味合いも持ち、シンメトリーにライオンが計6体彫刻されています。他と一線を画す緻密な仕上がりは彫刻作品のようです。
2頭のライオンの間の最も目立つところに、「A」と「D」の文字が3つの背面に彫られています。自身のイニシャルか、西暦紀元後を示す「A.D」なのか。家具に文字を彫刻することは作家の作品以外では極めて稀なことです。
ライオン彫刻もさる事ながら、それ以外の彫刻も素晴らしい仕上がりです。1脚のチェアを3つ連ねたトリプルバックを本品のように美しく完成させることは至難の業です。エレガントなトルサード(螺旋状にねじったもの)も魅力的です。
グリファンとは、ライオンの胴体に、鷲(または鷹)の頭と翼の上半身を持つ伝説上の生物。(ライオンの頭の場合も有る)鳥の王と獣の王が合体しているため「王家」の象徴としてグリファンの紋章が用いられます。権威の象徴であるライオンとグリファンの彫刻が装飾された特別なセティです。
荘厳なセティの良さを引き立てるゴブラン織の張地。ゴブラン織は、ヨーロッパの城や貴族の館では主にタペストリーとして壁に飾られ、お部屋を格調高く演出します。城の見張番として玄関ホールに、ライオンが装飾された本品がゴブラン織りのタペストリーと共に設えられていた情景が想起されます。
権威の象徴であるライオンの彫刻が3つの背面に装飾された荘厳なセティ。ヨーロッパの王侯貴族を象徴する意匠であり、国章としても使われるライオンの全体像が彫られることは極めて稀なことです。ライオンのような強さと気品高さを備えた秀逸な家具と言えるでしょう。