1920年代
イタリア
ヴェネチアンガラス
W32cm H45cmヴェルサイユ宮殿「鏡の間」のミラーは、当時、厳しい監視下に置かれていたヴェネチア、ムラーノ島から連れ出されたガラス職人たちによって制作されたと言われています。このヴェネチアンガラスのウォールランプも、連綿と続くヴェネチアの職人技によって制作された造形美溢れるガラスの銘品です。
摂氏1000度以上の高温のガラスを数分という限られた時間内で花や植物の形状を創り出す宙吹きガラス。マエストロたちの高度なテクニックが作品の出来栄えを大きく左右する極限の世界で、このガラスの照明も制作されました。何種類ものパーツを、一つ一つ何工程にも渡って制作し、まるで命を宿したような植物の有機的な曲線を見事に表現しています。全体に金の粉をまぶし、光を入れていないときは、煌びやかさの中にも繊細で優しい雰囲気を醸し出しています。また光を入れるとその表情は一変し、ゴールドならではの豪華な空間を演出してくれます。
美を追い求める権力者たちの憧れが原動力となり、ヴェネチアンガラスはガラス工芸の頂点を極めました。このウォールランプもヨーロッパのお屋敷で、一際神々しい明かりを放っていたことでしょう。現代のお部屋でも、そこに花が咲いたような、潤いのある空間を楽しませてくれます。