直線的な洗練された意匠と、細かく施された象嵌の装飾が高級感を醸し出すミュージックキャビネット。上部は両開きの扉が付いたショーケースで、小振りで愛嬌あるフォルムに仕上がっています。細かいところまで線象嵌の縁取りがされた、職人の技が冴え渡ります。ダマスク模様の英国上質生地でショーケース内を張替え、さらに格調高くなりました。

楽譜入れとしてつくられた本品。中身を見やすくするよう、引き出しを引くと、前板が手前に倒れる仕組みが目を引きます。木部には良質なマホガニー材が使われており、格調高く仕上げています。そして、象徴的に用いられているのが、扉や引き出しの前板を緻密に縁取る線象嵌です。ガラス扉には曲線と直線で構成された装飾が見られ、その内側にも細長く象嵌細工が施されるという芸の細かさ。他にもテーパードレッグや、引き出し下の幕板に見られる波型の装飾、真鍮製のハンドル金具にあしらわれたリボンなど、シックな装いの中にも、オーダー主のこだわりが詰まっています。

華奢で繊細なシルエットが美しいミュージックキャビネット。当時の最先端デザインは、今でも斬新さを感じる、洗練されたものに仕上げられています。マンションやモダンなお部屋に設えると、アートな空間を演出してくれます。