1773年6月8日、パリ、チュイルリー宮殿。十代の初々しいルイ・オーギュスト王太子夫妻が、初めて首都パリを公式訪問しました。未来のフランス国王である王太子と、オーストリア皇室からお輿入れした王太子妃を一目見ようと、大群衆がひしめき合っていました。やがてテラスに現れた王太子夫妻を、人々はいっせいに祝福します。「王太子万歳!王太子妃万歳!」群衆の割れんばかりの大歓声に驚いて、その大きな瞳を見開きながら、頬をバラ色に高揚させる王太子妃。見る者の目を釘付けにしてしまう、愛らしい姿です。おとぎ話の世界から現れたような、可憐な17歳の王太子妃に、人々はすっかり魅了されてしまいました。伝説の人マリー・アントワネットが、歴史に登場した瞬間です。
その華麗なるアントワネット時代を彷彿させる、ナポレオン3世時代の美しい象嵌と豪華なブロンズ装飾が施されたダイニングテーブルフルセットです。
荒廃した革命後、フランスに豊かさが戻ってきたナポレオン3世の時代に、或るフランス貴族の館のダイニングルームに設えられていたものです。特別注文で造らせたキャビネット2台とダイニングスゥイートが完璧に揃ったもので、その堂々たるたたずまいから、館の暮らしぶりが伺える贅沢な逸品です。