重厚なマホガニー材と美しいブルーのサヴィル・ガーデンのシダ模様が見事にマッチしたヴィクトリアンチェア。座枠の裏面にG.SIMPSONの銘が押された、貴重な逸品です。有名工房で作られた特注品でさえ、作者の銘が入るのは稀なことであり、この椅子の作り手は、名うての職人であったことがうかがえます。

力強いリージェンシー様式のデザインにやわらかな曲線を取り入れた、上品で優しい立ち姿。木部は上質のマホガニーを使用し、小指の先ほどの小さな彫刻まで、なめらかに磨きあげられています。前脚は旋盤加工をしたうえで、彫刻と８角の面取りを施すという仕事の細かさ。隅々まで、丁寧な仕事が詰まっています。

最高の調度品を持つことがステイタスとされたヴィクトリア時代。この椅子も、主自慢のしつらえに合わせ、特注で作られたのでしょう。当時の上流階級の優雅な暮らしを、体感されませんか。