


1880年代
英国
マホガニー
※張地は宮殿でも使用されている上質なカットベルベッド生地で張り替えています。
W151cm D52cm H235cm【トップ彫刻】
全身に、うるわしい花々をまとったキャビネット。
まず、目を奪われるのは、頭頂部の豪華な装飾です。ロココの象徴たるロカイユが、見事な彫刻技術で美しくデザインされています。頭頂部のロカイユは、さながら天上界に燦然と輝く太陽の光のようです。最頭頂部には、紋章にも見える唐草模様が格調高く施されています。柔らかに折り重なる葉に、みずみずしささえ感じ取れます。下段のバラ彫刻に添えられた、躍動的な葉先のフォルム。しなやかに伸びる先端は、透かしが作り出す空間を端正に演出します。幸運と豊穣の象徴、左右のコルヌコピア(宝角)。角杯の中に、こぼれ落ちんばかりに花々が詰められています。硬いマホガニーに、これだけ柔軟なフォルムを加えることができた木彫士の技術に感服し、ヨーロッパの装飾芸術の奥深さに感嘆させられます。
【中央ショーケース】
ガラス扉の飾り棚。半円形にせり出す扉は、100年以上の年月を経ても変形することなく、内部のマホガニーの一枚板の棚も、反ることなく制作当時の姿のまま今日に存在します。職人達が丹念に乾燥させたマホガニーは、クラフツマンシップの証です。ガラス扉の下方の彫刻の素晴らしさ。分厚い一枚板のマホガニーを半円形に切り出し、表面に表情豊かな花々が浮彫されています。絡み付くリボンの曲線が、甘く優美な印象を家具に与えます。その下のロカイユの透かし彫刻。このうえなく優雅なロカイユの曲線が、華美な装飾をこよなく愛したヴィクトリア女王時代の特徴を浮かび上がらせます。左右にしつらえられた鏡には、かつてどのような絢爛豪華な光景が映しだされていたのでしょうか。想像が掻き立てられます。
【左右の扉】
下方左右の扉に施された彫刻からは、花々の息吹が沸き起こってきます。向かって右の扉。ロカイユを組み合わせた飾り額の中には、音楽のモチーフが彫刻されています。丁寧に彫刻された吹奏楽器、打楽器、楽譜・・・手に取ることさえできそうな錯覚に陥ります。
向かって左の扉。大輪のバラと矢筒の彫刻。バラはヴィーナスの、矢筒はヴィーナスの息子エロス(キューピッド)の象徴です。永遠の美と気まぐれな恋の暗示がこめられた扉。開くと扉の裏側の、素晴らしく目が細かいマホガニー材に目を奪われ、現在では失われてしまった銘木の美しさに、しばし時を忘れます。シフォニエを優雅に支えるカブリオールレッグ。ロカイユや草花の曲線と響き合い、シフォニエをさらに魅力的に仕上げています。
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